思考の枠組み

できる人は知っている!「思考の枠組み」の罠と対処法

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私たちの思考は「思考の枠組み」に支配されていると言っても過言ではありません。しかし、日常的に使う思考の枠組みには無意識に思考を狭める罠が潜んでいます。

本記事では思考を狭めがちな枠組みの特徴とメカニズムを明らかにした上で、最後に対処法について解説します。

本記事を読めば、思考の枠組みについての理解が深まり、自分の人生をより自分でコントロールするための気づきが得られます。



1. 思考の枠組みとは?

思考の枠組みとは、意思決定、分析、問題解決、戦略立案等の思考作業において、考えるべきポイントをまとめた観点セットです。

こう書くと少し難しく聞こえるかもしれませんが、例えば、

  • メリット/デメリット

  • 5W1H

  • 問題/原因/対策

  • 目的/手段

なども思考の枠組みの一例です。

どれも普段からよく使うものばかりで、思考の枠組みなしで私たちの生活は成り立ちません。

思考の枠組みのメリットは、予め考える観点が決まっていることで、短時間で的確な(=俯瞰的かつ網羅的な)思考作業ができる点です。

一方、デメリットは思考停止です。思考の枠組みに沿って考えていると、枠組みにない観点の検討は漏れがちです。

 

2. 思考の枠組みに潜む罠(無意識に狭まる枠組み)

メリット、デメリットを踏まえると、どんな思考の枠組みを使うかが極めて大事になってきます。特に、日常的に使っている思考の枠組みは影響も大きいのでよくよく吟味すべきです。

ところが、厄介なのは無意識に使っている枠組みで、知らず知らずのうちに思考範囲を狭めていても(無意識なので)自分では気付けません。

私たちがいかに無意識に思考の枠組みを狭めてしまうか、簡単な問題による一例をご紹介します。

【問題】図1の9つの点のどれか1点から出発して、一筆書きで4本の直線のみを使って9つ全ての点を通してください。(答えは少し下にあります)

図1:問題

 
 
 
 
 
 

【答え】

図2:答え

いかがでしたか?

正解できなかった人は、図3のように無意識に正方形の枠を設定し、その枠内でしか考えないようになっていたはずです。

図3

本来であれば、その前提で答えが見つからないことがわかれば、前提を疑い、枠を広げるべきです。
しかし、自分が設定した枠の中で考えることに一生懸命になってしまい、そもそも思考の枠が正しいのか?という点については頭からすっぽり抜けてしまっているのです。

ここで注目すべきは、正解に至らない理由が「努力(考える量や時間)不足」にあるのではないということです。ただ単に、考える範囲つまり思考の枠組みが狭すぎたから、なのです。

 

3. 視野が狭くなりがちな思考の枠組みの特徴

では、普段使っている思考の枠組みに話を戻すと、視野が狭くなりがちな枠組みにはどんなものがあるのでしょうか?

  • 例1:目的/手段 → 手段の目的化
    家族の幸せのためマイホームを手に入れるべく節約を開始。ところが日々の生活の中で節約を意識しすぎるあまり、週末のレジャーにも行かず、毎日の食費やエアコン代すら惜しむように。心に余裕がなくなり、家族の空気は険悪になるばかり。

  • 例2:全体/部分 → 全体最適より部分最適
    ビッグプロジェクトを効率的・効果的に遂行するために複数のチームを作った。最初は各チームともプロジェクト目標達成という高い視点から、全体最適を意識して行動できていた。ところが、時間が経つにつれて業務の縦割り化が進み、結果として、チーム間調整コストの増加で非常に非効率的なプロジェクト運営を強いられることになった。

  • 例3:単純/複雑 → 無意味な複雑化
    社会人になって急激に増えた予定やタスクを効率的に管理するために手帳を使うことにした。最初はシンプルに必要な予定だけを書き込んでいたが、凝り性な性格で次第に色分けや独自記号を駆使した記法に変わっていった。気づくと、自分でも見間違えが発生するほど複雑な記入ルールになっていた。

これらの例を汎化すると、無意識に視野を狭めがちな思考の枠組みは以下の特徴を持っていることがわかります。

  1. 上位概念・下位概念という階層構造になっている

  2. 上位概念より下位概念の方が具体的で目に見えやすく、普段の行動と密接に結びついている(逆にいうと上位概念の方が抽象的、観念的)

  3. 日常生活において上位概念から下位概念への移動はごく自然にかつ不可逆的に起こる(一度下位概念に移動すると上位概念には(意識しない限り)戻らない)

つまり、これらの思考の枠組みは、放っておくと下位概念しか捉えられない思考停止状態に陥るのです。そして、思考停止状態が続くと、手段の目的化、全体最適より部分最適、無意味な複雑化といった結果を招き、「こんなはずではなかった」「気づいたときには手遅れ」ということになりかねません

 

4. 思考停止を防ぎ、高い視点を保つための対策

こうならないためには 上位概念に思考レベルを上げることを「意図的に」やる必要があります。しかし、人間は忘れる生き物、安易に意思の力に頼るのは危険です。

では、どうすればよいでしょうか?
対策を2つご紹介します。

対策1:日常生活の中で上位概念を定期的に確認する仕組みを作る

そもそも、上位概念→下位概念への移動が不可逆的に起こるのは、
「下位概念の方が具体的で目に見えやすく、普段の行動と密接に結びついている」
からでした。
それならば、上位概念を可視化し、普段の生活の中で強制的に意識せざるを得ないような仕組みを作るのが有効です。そして、可視化する場所は、普段目にするところにするのが続けるコツです

例)

  • 自分が大切にしている価値観を手帳に書いて、具体的に目指している目標が価値観に沿ったものであるか定期的にチェックする

  • 目標を壁に貼り、アクションが目標に即したものになっているかを定期的にチェックする

  • 目標達成のためのアクションプラン(計画)を、普段使っているタスク・スケジュール管理ツールに入れて進捗状況を定期的にチェックする

対策2:上位概念が必要な理由を掘り下げて、潜在意識レベルでモチベーションを上げる

例えば、目標/アクションという思考の枠組みでいうと、潜在意識レベルで目標達成への欲求を腹落ちさせることができれば、特別な努力などしなくても勝手に目標を意識するようになります。
そのためには、自分はなぜその目標を達成したいのか、その理由を丁寧に深掘りする必要があります。そして、目標を達成したときの状況や光景、感情をありありとイメージし、心の底からその目標を達成したいと思えるようになればしめたものです。

例)

  • 年収3000万という目標を立てた場合、なぜ、1000万でも2000万でもなく3000万なのか?その年収を手にすることで、どこで誰とどんな生活をしたいのか?といったことを深く掘り下げて、自分の真の欲求を明らかにする

  • 教師になるという目標を立てた場合、なぜ、他の職業ではなく教師が良いと思ったのか?自分が大切にしている価値観と照らし合わせて、教師になりたいと思った本当の理由を明らかにする

こうして、上位概念に思考レベルを上げることが習慣化されれば、常に高い視点を持って日常をコントロールできるようになります。

 

5. まとめ

  • 思考の枠組みとは、意思決定、分析、問題解決、戦略立案等の思考作業において、考えるべきポイントをまとめた観点セットで、思考の枠組みなしで私たちの生活は成り立ちません。

  • 思考の枠組みのメリットは、予め考える観点が決まっていることで、短時間で的確な(=俯瞰的かつ網羅的な)思考作業ができる点です。一方、デメリットは思考停止です(思考の枠組みに沿って考えていると、枠組みにない観点の検討は漏れがち)。

  • 思考の枠組みの中には無意識に視野を狭めやすいものがあります。
    例)目的/手段→手段の目的化、全体/部分→全体最適より部分最適、単純/複雑→無意味な複雑化、

  • 無意識に視野を狭めがちな思考の枠組みは以下の特徴を持っています。
    ①上位概念・下位概念という階層構造になっている
    ②上位概念より下位概念の方が具体的で目に見えやすく、普段の行動と密接に結びついている
    ③日常生活において上位概念から下位概念への移動はごく自然にかつ不可逆的に起こる

  • 思考停止を防ぎ、高い視点を保つための対策
    対策1:日常生活の中で上位概念を定期的に確認する仕組みを作る
    対策2:上位概念が必要な理由を掘り下げて、潜在意識レベルでモチベーションを上げる

ぜひ、思考の枠組みを使いこなし、より良い人生にしてください。