逆算思考

【保存版】目標達成したい人必見!逆算思考のやり方12のポイント

逆算思考とは、ゴールと期日を定め、それを実現するためのステップを逆算して洗い出し、実行していく考え方です。多くのトップアスリートや各方面における成功者が逆算思考に則って成果を上げています。 

ただ、逆算思考は考え方はシンプルなのですが、いざ実践しようとすると意外とつまづくことが多いです。

じつは、逆算思考のやり方には4つのステップと12のポイントがあり、そのポイントをしっかりと理解し実践すれば、誰でも一定の成果は出せます。

私は、逆算思考を実践するためのタスク管理ツール(Dreamscope)の企画・開発に伴い、逆算思考で大きな成果をあげた人たちの方法を徹底的に調査してきました。本記事は、そういった方々が実践していた逆算思考のやり方を12のポイントに体系的にまとめたものです。そして最後に、全てのポイントを通して見えてくる、新しい逆算思考の形についても考察しています。

本記事を読めば、逆算思考のポイントを理解し、確実に目標達成率を上げられるようになります。

目次

逆算思考とは?

逆算思考のやり方:4つのステップ

STEP1 目標設定

1. 目標はできるだけ具体的に(できれば数字で)定義する
2. 目標に日付を設定する
3. 目標達成後の自分の状態を具体的にイメージすることで強い動機を持つ

STEP2 タスク設計

4. ゼロベース思考
5. ロジカルシンキング
6. アイデアを拡げる
7. 普段の情報収集(先人の知恵に学ぶ)

STEP3 スケジューリング

8. 関連タスクの順序性を保つ
9. 計画の実現性を担保する(無理な計画になっていないか?)

STEP4 タスク管理

10. 逆算思考のタスク 3つの特徴
11. 逆算思考のタスク管理はアナログよりデジタル
12. 逆算思考のタスク管理に求められる3つの要件

新しい逆算思考の形

まとめ

 

逆算思考とは?

繰り返しになりますが、逆算思考とは、ゴールを起点にタスクを決める考え方です。いつどんな状態になっていたいか、ゴールと期日を定め、それを実現するためのステップを逆算して洗い出し、実行していきます。

一方、その逆は積み上げ思考で、今を起点にタスクを決める考え方です。現状を踏まえて、今やれることを精一杯やり、最終的な到達点をゴールとします。


積み上げ思考

メリット:

  • (今できることをベースに次の一手を考えるので)行動に移しやすい

  • (段取りを全て決めきるわけではないため)計画変更が容易

デメリット:

  • 圧倒的な成果を生みにくい


逆算思考

メリット:

  • 短期間で成果を上げやすい

  • 今の自分の枠組みを超えた圧倒的な成果を生む可能性がある

デメリット:

  • 行動に移す前に一定の思考作業、準備が必要

  • (積み上げ思考と比べてタスク数が多くかつ複雑になるため)タスク管理を効率的に行うための仕組みが必要


それぞれメリット、デメリットはありますが、短期間で圧倒的な成果を生みたい場合は逆算思考を実践すべきです。実際、多くのトップアスリートや各方面における成功者が逆算思考に則って成果を上げています。

 

逆算思考のやり方:4つのステップ

前述の通り、逆算思考は行動に移す前に一定の思考作業、計画が必要で、かつ実際に行動し始めた後も適切にタスクを管理する仕組みが必要になります。

これを踏まえ、逆算思考は以下の4ステップで実践していきます。

  1. 【目標設定】現状にとらわれず、なりたい自分、理想の状態を思い描き、達成予定日を設定。

  2. 【タスク設計】ゴールと現状のギャップを踏まえてゼロベースで目標達成のためのタスクを洗い出す。

  3. 【スケジューリング】タスクの順番、計画の実現性(無理な計画になっていないか?)を意識して各タスクのスケジューリングを行う。

  4. 【タスク管理】目標・タスクの予実を見える化し、計画変更の管理を適切かつ効率的に行う。

ここで大切なのは、この4ステップは直線ではなく、サイクリックなプロセスだという点です。つまり、計画は一度立てたら終わりではなく、タスクの実行状況を踏まえてブラッシュアップする必要があるということです(詳細はSTEP4 タスク管理のポイントで説明します)。

以下、各ステップごとにポイントをまとめます。

 

STEP1 目標設定のポイント

旅行計画を立てる際に最も大事なのはいつどこで何をしたいかです。これが曖昧だと目的地に行くまでの交通手段や持ち物、宿泊先も決まりません。逆算思考も同様で、いつどんな状態になってどんな体験を味わいたいか、これが曖昧だとその後のタスク設計、タスク管理も迷走してしまいます。つまり、逆算思考にとって最も大切なのが目標設定といえます。

では、目標設定のポイントは何でしょうか?これだけで何冊も本が出ているような深いテーマですが、ここでは、成功者の名言をヒントに3つにまとめました。

 

1. 目標はできるだけ具体的に(できれば数字で)定義する

目標が具体的かどうか。ちょっとしたことだが、ここが成功する人としない人との決定的な差だ
- 柳井正(ユニクロ会長) -

明確な目標や願望を持たない人に、成功はあり得ない。失敗の最大の原因は、「明確な人生目標の欠如」にある
- ナポレオン・ヒル(作家) -

例えばダイエットなら「とにかく痩せる」ではなく「50キロまで痩せる」といった具合に、目標は具体的な状態で(できれば数字で)定義するのがポイントです。

 

2. 目標に日付を設定する

photo : Calendar by Max Braun

photo : Calendar by Max Braun

達成計画や期限なしの目標を設定することは、目標自体を設定しないにも等しい。
- オグ・マンディーノ(作家) -

目標とは、締切期限付きの夢である
- ナポレオン・ヒル(作家) -

目標に期限が設定されていないということは、「いつかやれればいい」=「今じゃなくてもいい」ということなので行動が後回しになり、気づいたら何も進んでいなかったということになりがちです。目標には必ず期限を設定しましょう。

 

3. 目標達成後の自分の状態(姿・感情・光景等)を具体的にイメージすることで強い動機を持つ

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脳は現実に起きていることと、イメージを区別できないので、未来のイメージを繰り返せば繰り返すほど、イメージが現実になり、成功する確率が高まるといわれています。イメトレはまさにそれを応用したものです。
- 原田隆史(教育者) -

物件を見に行くためにシカゴの込み合った通りを歩きながら、私はこう言った。「ジャック、5年後ここにいる連中がみんなスターバックスのコーヒーカップを手にして歩くようになるよ」。ジャックは私を見つめ、笑いながら答えた「夢みたいな話だね」。だが、私にはその光景が見えていた。
【覚書き:スターバックス4号店をシカゴに作ろうとしていた時の発言。ジャックはフランチャイズとレストラン業界のベテランでスターバックスの株主】
- ハワード・シュルツ(スターバックス元CEO) -

イメージの力は強力です。潜在意識レベルで心の底から目標を達成したいと思えるまでイメージトレーニングを繰り返すことが大切です。

 

STEP2 タスク設計のポイント

目標が定まったら、次は達成するために必要なタスク設計です。しかし、なかなかタスクが思いつかず、ここで立ち往生してしまう人が少なくありません。「思いつき」というと、何か特殊な才能を持った一部の人のみができることに思えますが、そんなことはありません。目標を達成するためのアクションプラン(タスク)の出し方には、体系化されたノウハウが存在します。

 

4. ゼロベース思考

ゼロベース思考とは「既成の枠を外して可能性を広げる」思考法です。では、目標設定における既成の枠とは何でしょうか?それは「自分ができる範囲」です。私たちはついつい自分ができる範囲内で物事を考えがちですが、それでは積み上げ思考になってしまいます。まずは、自分のことは棚に上げて、ゼロベースで可能性のある選択肢は全て出すポジティブな姿勢が大事です。

 

5. ロジカルシンキング

限られた時間の中で有効なタスクを出すには、いわゆるロジカルシンキング(またはクリティカルシンキング)と呼ばれる思考テクニックが有効です。ロジカルシンキングは元々コンサルティング業界を中心に使われていた問題解決、課題達成のための思考法の一つです。
一方、目標達成のためのタスク設計は、現状と理想(目標)のギャップを埋めるためのアクションプラン(タスク)の策定であり、これはまさに問題解決、課題達成の検討そのものです。
ロジカルシンキングのテクニックが目標達成におけるタスク設計に有効なのはそのためです。

ここでは比較的実践しやすいMECE、ロジックツリーのエッセンスをご紹介します。
なお、ロジカルシンキングを十分に使いこなすには一定量のトレーニングが必要です。現在は関連書籍も多数出版されているので、興味を持った方はぜひ一度腰を据えて学ばれることをお勧めします。

・MECE

MECE(ミーシー)は、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、“モレなくダブりなく”という意味です。タスクを洗い出す際に、MECEを意識することで有効なタスクの見落としや、同じことを繰り返し考えるというムダをなくすことができます。

・ロジックツリー

ロジックツリーは問題をツリー(樹木)状に分解・整理し、その原因や解決策を探る思考ツールで、作成する際のポイントは以下です。

  1. 各レベルが(できるだけ)MECEになっていること

  2. ツリーの末端が具体的(アクション)になっていること

  3. 各要素がそれを支える一つ下のレベルの要素によって論理的に支えられている

ロジックツリーを使ってタスクを洗い出す際は、大元の箱に目標を入れて、その目標を達成するための手段を抽象的なものから徐々に具体化する形で洗い出していきます(ツリーの末端が実行可能なタスクになるまで具体化・細分化を繰り返す)。

その際、上記のポイントを意識しながら具体化を進めることで下記のメリットを得られます。

  1. タスクの抜け漏れを防げる

  2. 抽象的な目標から実行可能なアクションを導ける

  3. 洗い出したタスクを実行することで目標を達成できるかどうか、タスク実行前にチェックできる



MECEやロジックツリーの解説記事はたくさんありますが、わかりやすく説明されている書籍、Web記事をいくつかご紹介します。

◆書籍

→著者はマッキンゼー出身の経営コンサルタント。問題解決の入門書という位置付けですが、著者の豊富な経験に裏付けられた理論的かつ実践的な内容で、ビジネス、プライベート問わずあらゆる問題解決に応用できます。個人的には、高校(or 大学)でこの本を教科書にした問題解決の科目を設けて欲しいと思うくらい、あらゆるバックグラウンドの方にお勧めの一冊です。

→自転車に初めて乗る子供に「しっかり乗りなさい!」と連呼したところで乗れるようにはなりません。大事なのは「乗り方」を教えてあげることです。 でもなぜか、生きる上で最も基本的な「考える」「書く」という行為は、「しっかり考えなさい!、書きなさい!」と言われることはあっても、その方法は学校でも教えてくれません。
私が本書を手にした時に最初に驚いたのはタイトルです。考える、書くという最も基本的な行為に「技術」があったなんて!技術は一定の訓練を積めば誰でも身につきます。思考力、文章力をあげたい方にぜひお勧めしたい一冊です。

 

6. アイデアを拡げる

ロジックツリーのメリットの一つに「タスクの抜け漏れを防げる」という点をあげましたが、ロジックツリーは文字通り論理的な枠組みの中でアイデアを出していく手法であり、タスクを洗い出す上でこの論理性が逆に窮屈に感じられる場合があります。

そんな時は、発想を拡げるという点にフォーカスした思考ツールが役立ちます。(ただし、洗い出したタスクが本当に目標達成に繋がるのかをチェックする際は論理的に検証する必要があります)
ここでは一人でも使える代表的なものを2つほどご紹介します。

・マンダラート

プロ野球の大谷翔平選手が高校生の時の目標設定に使っていたということでご存知の方も多いと思います。

9つに区切られた正方形をマンダラと呼び、使い方としては、真ん中に目標を書き、その目標を達成するために必要な要素を周りの8個のセルに思いつくままに書いていきます。そして、一通り描き終わったら、次はその一つ一つをさらに別のマンダラに展開していきます。

これだけで少なくとも8×8=64個のタスクのアイデアを出すことができます。直線的ではなく、四方八方にアイデアを展開していくイメージです。

マンダラートについてより詳しく知りたい方は下記の記事が参考になります。

マンダラート|目標設定にも使える一気に72のアイデアを出す発想法

・マインドマップ

マインドマップは紙の中心に主題(目標)を書き、そこから放射状に関連要素(タスク)と線を書いていきます。

1枚の紙の中にアイデアのヒントとなる言葉がひしめき合っており、作成する中でどんどん新たなアイデアを思いつくことができます。マンダラートは8個のセルというフォーマットがあるのに対して、制約がないのが特徴で、格式張ったのが嫌いな人はマンダラートよりマインドマップの方が向いていると思います。

マインドマップの考案者であるトニー・ブザンがジョン・ネイスビッツの「メガトレンド」という書籍の内容をまとめたマインドマップ

マインドマップについてより詳しく知りたい方は下記の記事が参考になります。

マインドマップの書き方・描き方 「6つの法則」

 

最後に、様々なアイデア発想法(マンダラート、マインドマップ含む)を解説した良書を一冊ご紹介して本セクションを終わります。

 

→約240ページありますが、字も大きく、平易な言葉で身近な具体例を交えて書かれているので、2時間程度あれば読めると思います。

 

7. 普段の情報収集(先人の知恵に学ぶ)

ポイント4〜6はタスク設計にあたり、(思考のフレームを設定することで)有効なタスクのアイデアをいかに効率的に出すか、という点に主眼を置いたノウハウです。ところで、かの有名な

によれば、

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない

ので、「既存の要素」をより多く知っている方が有利なのは間違いありません。

そこで大事になってくるのが普段からの情報収集です。

情報収集に関するノウハウは本、Web、雑誌といたるところに転がっているので、ここでは記載を割愛しますが、「目標達成」のための情報収集であることを意識して一つだけポイントをあげるとすると、自分の目標分野において実際に成果をあげている人(第一人者)を見つけて、その人のやり方を徹底的に調査するということです。

これまで述べた方法はあくまで机上のタスク設計なのでいくら厳密にフィージビリティを検証しても、実際に実行してみると思わぬ落とし穴が潜んでいたりするものです。そう考えると、誰かが実際にやってみて成果をあげたノウハウというのは一日の長があります。

そして、もし、ベンチマークとなる人を見つけられたなら、活字などの間接的な情報だけでなく講演や直接の対談など、できるだけその人の生の情報に触れることをおすすめします。そうすることで活字では表現することが難しい想いや熱量なども感じることができますし、何より、ポイント3でも述べましたが、目標を達成した姿を具体的にイメージできるようになるということが大きいです。

 

STEP3 スケジューリングのポイント

やることが決まったら、次はそれをいつやるか?つまりスケジューリングです。
タスクのスケジューリングにおいて大事なポイントは2つです。

 

8. 関連タスクの順序性を保つ

当たり前の話ですが、順番にやることを前提にしているタスクはその順番通りにスケジューリングする必要があります。タスクA→タスクB→タスクCという順序性があるなら、各タスクの日付もその順番に割り振る必要があります。

 

9. 計画の実現性を担保する(無理な計画になっていないか?)

端的にいうと、日ごとに

可処分時間 > その日のタスクの総所要時間

となるように各タスクをスケジューリングするということです。
例えばある日に使える時間が7時間だとしたら、その日のタスクの総所要時間が7時間以内に入っている必要があります。

実運用においてこれをスムーズに回すためのポイントは以下の3点です。

  1. タスクのボリュームを(数ではなく)時間で見積もる

  2. 日毎のタスクの総所要時間が自動集計される

  3. 繰り返しタスクを加味して所要時間を集計できる

少し補足すると、2で「自動」集計としているのは運用の手間を考慮してのことです。もし手動集計するとなると、タスクの新規追加やスケジュール変更のたびに再計算することになり非常に面倒です(論理的には手動集計でもやれますが、運用の手間を考えると非現実的と言わざるを得ません)。そのため、スケジューリングを含めたタスク管理はアナログ(紙)よりデジタルが断然オススメです。

また、デジタルツールでは、タスクの繰り返し機能が実装されているものがほとんどですが、その仕様は大きく下記の2通りあります。

  • 【仕様1】カレンダー上のすべての繰り返し予定日に該当タスクが表示される

  • 【仕様2】繰り返しタスクが表示されるのは直近1つだけ(その次のタスクを表示するには直近の繰り返し予定日のタスクを完了扱いにしなければならない)

日毎にタスクの所要時間を集計するには当然繰り返しタスクも含める必要があるので(3)、【仕様1】(カレンダー上のすべての繰り返し予定日に該当タスクが表示される)が必須要件になります。


さて、上記2ポイントは至極当たり前の話で、何をいまさらと思われた方も多いはずです。実際、タスクが少ないときはどんなやり方をしても簡単に上記を満たしたスケジューリングができると思います。

問題はタスクが多いときです(感覚的には一日あたりのタスク量が10個以上)。タスクが多いとどうしても試行錯誤をしながらのスケジューリングになりがちで、それを想定した上でいかに効率的にスケジューリングを行う仕組みを作れるかが最大のポイントです。

 

STEP4 タスク管理のポイント

目標設定、タスク設計、スケジューリングが終わったらあとは実行あるのみ・・といきたいところですが、逆算思考を長く続けるには、もう一つ押さえるべき大切なポイントがあります。
それがタスク管理です。

 

10. 逆算思考のタスク 3つの特徴

積み上げ思考と比較して、逆算思考のタスクには下記の3つの特徴があります。

1. タスクが多い

逆算思考は(積み上げ思考と比べて)タスクが多くなる傾向があります。

これは、積み上げ思考が「今できること」を精一杯やっていくという発想なのに対して、逆算思考は目標達成のために必要なタスクをゼロベースで(=今の自分にできる範囲にとらわれず)上げていくので、積み上げ思考では出ないタスクも多数上がるためです。

実際、逆算思考を実践する中で、自分の役割(母親、娘、システムエンジニア等)ごとに複数の目標をあげ、各目標ごとに必要なタスクを洗い出すと、1日あたりのタスク数は一桁では収まらず、数十個になることも珍しくありません。

2. 未経験のタスクが多い

また、「自分ができる範囲」にとらわれないということは、必然的に未経験のタスクが増えます。

3. 計画変更が多い

そして、未経験のタスクが多いと、どれだけ綿密に計画を立てても想定外は避けられません。すると、その都度タスクの再設計やスケジュール変更、場合によっては目標修正も必要になります。

従って、逆算思考で成果を上げるには、一定レベルの計画(目標設定→タスク設計→スケジューリング)が必要な一方、計画には必ず変更が入るという前提で仕組みを作る必要があるのです。

別の言い方をすると、逆算思考のステップは直線ではなく、サイクリックなプロセスだといえます。 逆算思考でうまく成果が上がらない人は、ここが理解できていないことが多いです。最初の計画を立てるまではよいのですが、いざ実行してみると結果が出ず、そこであきらめてしまうケースです。

こうならないためには、目標・タスクの予実を見える化し、計画変更の管理を適切に行う必要があります。つまり、タスク管理です。

 

11. 逆算思考のタスク管理はアナログよりデジタル

1日あたりのタスク数が二桁を超えてくると記憶だけに頼るのは難しく、何らかのタスク管理の仕組みが必要になります。

そして、逆算思考のタスク管理ツールは圧倒的にデジタル(ToDoアプリ等)がおススメです。

なぜなら、逆算思考では計画変更が多く、アナログ(紙)では、そのたびに転記作業を強いられることになるからです。最初の計画は綺麗に書けたのに、そのあとの度重なる修正のせいで、使用開始から1ヶ月も経たないうちに、手帳がぐちゃぐちゃになり、結局使わなくなってしまった、という経験がある人もいると思います(私もその一人です)。

アナログ(紙)には表現自由度の高さ等、紙ならではのメリットもありますが、この手間に耐えられない人はメリットを享受することはできません。

特に、逆算思考の初心者は計画変更が発生するリスクがより高まるため、とりわけデジタルがオススメです。

 

12. 逆算思考のタスク管理に求められる3つの要件

逆算思考のタスク管理では、そのタスクの特徴から、以下の3つの要件が求められます。



要件①:人生設計という高い視点で、目標・タスクの全体像を俯瞰できる

Photo: Perspective by denipet

逆算思考は、目標と期日を定め、それを実現するためのタスクを逆算して洗い出していくという性質上、各タスクは現在から目標期日までのタイムスパンでスケジューリングされていきます。目標によっては、期日が数ヶ月後、一年後といった長いものも出てきます。

また、逆算思考を人生全体に適用すると、自分の役割(母親、娘、システムエンジニア等)毎に日付の入った複数の目標ができ、さらに各目標毎に達成に必要なタスク群が作成されます。

つまり、逆算思考は、積み上げ思考(今を起点にタスクを決める)と比べて、扱うタスクのタイムスケールおよび目標・役割といったタスクを束ねる概念の幅が大きくなるという特徴があるのです。

そのため、逆算思考のタスク管理においては、日々のタスクを管理しているだけではダメで、人生設計という高い視点で、目標・タスクの全体像を俯瞰できることが求められます

もし、全体像が把握できないと、例えば、

  • 仕事に没頭するあまり、気づいたらプライベートが崩壊している

  • 目の前の仕事をこなすことに追われ、気づいたら納期に間に合わなくなっていた

といった事態を引き起こすリスクが高まります。いずれも、頑張ってはいるけど望む結果にならない、というのが非常に残念な点です。 こうならないためにも、人生設計という高い視点で、目標・タスクの全体像を俯瞰できる仕組みが大切になります。

要件①を実現するためのビューの例)

未来年表(役割ごとにいつどんな目標を達成する予定なのかを整理した表)①:年単位の目標

未来年表②:月単位の目標

目標毎のタスクリスト

ウィークリーカレンダー

マンスリーカレンダー


要件②:計画の妥当性が一目でわかる

逆算思考とは、目標達成までの「計画」を目標から逆算して立てるということです。さらに、計画変更が多いという特徴を踏まえると、計画の妥当性(計画通りに実行すれば目標が達成できるのか?)を瞬時に判断できることがポイントです。(これができないと、計画ミスを見落とすリスクが高まります)

計画の妥当性の確認観点とビューの例)

  • 【目標の妥当性】いつどんな目標(マイルストーン)を達成する予定なのか
    →要件①未来年表

  • 【タスクの妥当性】各目標を達成するためのタスクリスト
    →要件①目標毎のタスクリスト

  • 【タスクの順序性】タスクの順番を踏まえたスケジューリングになっているか
    →要件①目標毎のタスクリスト or カレンダー
     ※ カレンダーで順序性を確認する場合は、
       該当目標に関連したタスクだけを表示もしくはハイライトする機能が必要

  • 【計画の実現性】日毎に「可処分時間 > その日のタスクの総所要時間」になっているか
    9. 計画の実現性を担保する(無理な計画になっていないか?)参照


要件③:計画変更が簡単にできる

photo : Easy Key by GotCredit

photo : Easy Key by GotCredit

11. 逆算思考のタスク管理はアナログよりデジタル で述べた通り、逆算思考は積み上げ思考と比較して計画変更(ゴール、タスクの新規追加・変更・削除)の頻度が高くかつより適切に対応することが求められます。そのため、日々のタスク管理をスムーズに進めるには、計画の変更操作を簡単に行えることが大事です。

要件③を実現するための機能例)

  • 各ゴール、タスクの新規作成・変更が簡単にできる
    (既存タスクのコピーやテンプレート機能があると便利)

  • 各ゴール、タスクの日付変更が簡単にできる

  • 延期日数指定による複数タスクの一括日付変更ができる
    これができるタスク管理ツールは少ないので少し補足しておきます。
    例えば、順序性を持った一連のタスク群があったとして、何らかの事情でそのうちの1タスクを延期する必要が出たとします。この場合、該当タスクの延期だけではダメで、全ての後続タスクを順序性を保った状態で延期する必要があります。この状況は割と頻繁に発生しますが、効率的に対応するには、延期日数を指定して複数タスクを一括で延期する機能が必要になります。逆に、この機能がないと、後続タスクを一つ一つ順序性を意識して延期することになり、非常に手間がかかります。(下図参照)

延期日数指定による複数タスクの一括日付変更のイメージ

逆算思考を実践するためのタスク管理ツールを選ぶ際は、タスク管理ツールとしての一般的な利便性に加えて、上記の観点も条件に加えることをおすすめします。

 

新しい逆算思考の形

最後に、これまでの説明を踏まえた新しい逆算思考の形を考察して終わりたいと思います。

逆算思考の一般的なイメージ

本記事の冒頭でも少し触れましたが、逆算思考の一般的なイメージは、最初に明確なゴール設定と完璧なタスク設計、スケジューリングを行い、一直線にゴールまで突き進む、そんなイメージだと思います(下図参照)。いわば、直線型の逆算思考です(ソフトウェア開発に詳しい方ならウォーターフォール型という言い方の方がしっくりくるかもしれません)。

直線型の逆算思考イメージ

そして、たいていセットで語られるのが積み上げ思考との対比です。
「ゴールからやるべきことを逆算して一直線にゴールに突き進む逆算思考」 vs 「ゴールは意識せず今やれることを精一杯やる積み上げ思考」こんな構図で、どちらかというと逆算思考はゴールをクリアに描きやすい短期向け、積み上げ思考は中長期向けという意見が多いように思います。

これはこれで何も否定はしませんが、この二択「だけ」で語られることには強い違和感がありました。

 

積み上げ思考の良さも取り入れたジグザグ型の逆算思考

というのも、現実はもっと複雑だからです。

もちろん、最初から目標がビシッと決まって、一直線にゴールまで突き進めればそれに越したことはありません。が、実際は、これまで説明したように最初から100点の目標とタスクとスケジュールを用意するのは難しいことも多いです(特に初心者)。
また、スピード重視で、あえて最初の計画は70点、80点くらいに抑えるというケースもあります。
いずれにせよ、タスクやスケジュールだけでなく目標も含めて、最初はある程度の曖昧さを許容して、走りながら精度をあげていくという形も現実的には多いように思います。

別の言い方をすると、中長期的な俯瞰的視点と短期的な日常の視点、この双方を常に持ちつつ改善サイクルを回しながら目標に向かって進む、という形です。
重要なのは目標は常に意識し続けており、タスクやスケジュールはその時点の目標から逆算して設計されるということです。
この点は通常の直線型の逆算思考と全く同じです。
一方、計画は変わる前提で改善サイクルを細かく回すところが直線型とは異なる点で、イメージは下図のようになります。

ジグザグ型の逆算思考イメージ

言うなれば、ジグザグ型の逆算思考です(ソフトウェア開発に詳しい方ならアジャイル型と言う方がイメージしやすいかもしれません)。

そして大事なのはこの特徴により
・行動に移しやすい
・計画変更が容易
という積み上げ思考のメリットも享受できるようになるというところです。

つまり、このジグザグ型の逆算思考は、直線型の逆算思考と積み上げ思考のいいとこ取りをしたハイブリッド型の逆算思考なのです。
この形であれば、(直線的な逆算思考と相性が悪いと思われがちな)長期的な目標に対しても逆算思考を適用できますし、初心者のハードルも下がります

既にお気づきかと思いますが、これまで、目標設定→タスク設計→スケジューリング→タスク管理→・・はサイクリックなプロセスだという説明をしてきましたが、表現が違うだけで言っていることは同じです。実は、本記事は一貫してこのジグザグ型の逆算思考を念頭に置いた説明をしていました。

直線型の逆算思考でうまくいかないと思われた方はぜひこの新しい逆算思考を試してみてください。

 

まとめ

逆算思考を実践する上でのポイントは以下の通りです。

STEP1 目標設定

1. 目標はできるだけ具体的に(できれば数字で)定義する
2. 目標に日付を設定する
3. 目標達成後の自分の状態(姿・感情・光景等)を具体的にイメージすることで強い動機を持つ

STEP2 タスク設計

4. ゼロベース思考で自分のできる範囲にとらわれず可能性のある選択肢は全て出す
5. ロジカルシンキングを使い、限られた時間の中で効率的に有効なタスクを洗い出す
6. 発想を広げるための思考ツールを使ってタスクのアイデアを自由に出す
7. 普段の情報収集ではその道のプロのやり方を徹底調査する

STEP3 スケジューリング

8. 関連タスクの順序性を保つ
9. 日々のタスクの総所要時間が可処分時間に収まるように計画する

STEP4 タスク管理

10. 逆算思考のタスク 3つの特徴
 ・タスクが多い
 ・未経験のタスクが多い
 ・計画変更が多くなりがち
11. 逆算思考のタスク管理はアナログよりデジタル
12. 逆算思考のタスク管理に求められる3つの要件
 ・要件① 人生設計という高い視点で、目標・タスクの全体像を俯瞰できる
 ・要件② 計画の妥当性が一目でわかる
 ・要件③ 計画変更が簡単にできる


逆算思考のポイントを理解し、実践を重ねることで、ぜひ大きな目標を達成してください。
長い記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。